2010年3月28日日曜日

トップツアー、クラウドで営業力を向上

トップツアー、クラウドで営業力を向上
3月27日 観光経済新聞を抜粋編集

 トップツアーは4月から、社内営業システムを一新し、インターネットを経由してコンピューターソフトなどを利用する「クラウド・サービス」を使った営業システムを導入する。

 システムの活用のために全営業担当者にスマート・フォンを配備する。従来運用してきた社内グループウェアシステムを移行、拡張しやすく、最新のシステムを速やかに全社規模で導入できるクラウド・サービスを利用することで、システム構築、管理費用の圧縮を図る。

 全社規模で社内営業システムをクラウド・サービスに移行し、さらに全営業担当者がスマート・フォンを活用するのは旅行業界では初めてとなる。ソフトウェア会社・グーグルが提供するクラウド・サービス「Google Apps」を採用した。

 同社では社内にメール・グループウェアを含む営業管理システムを構築、運用していたが、今回のシステム刷新とスマート・フォンの配備により、営業担当者が社外からメールやスケジュールの確認、営業に関わる情報の検索、照会ができるようにして営業効率を高めるだけでなく、顧客の要望への対応力向上も図る。

2010年3月21日日曜日

「ハイサービス日本300選」に旅館・ホテル6軒

「ハイサービス日本300選」に旅館・ホテル6軒
3月20日 観光経済新聞を抜粋編集

 サービス産業生産性協議会は、サービス産業のイノベーションや生産性向上に役立つ先進的な取り組み事例を「ハイ・サービス300選」として表彰しているが、15日までに52の企業・団体を新たに選定した。今回、6軒の宿泊施設が入っており、これら施設が行うサービスは集客策などに悩む施設にとっても経営のヒントとなりそうだ。

 岩室温泉(栃木)にある大黒屋。創業約460年という歴史ある旅館。「近年はサービスに現代美術を取り入れ、全国でも珍しい温泉旅館として知られている」(同協議会)。“保養とアートの宿”をコンセプトに、館内外の至るところに現代アートの作品を展示。06年からは「大黒屋現代アート公募展」を開始。国内外から多数の応募があり、次世代の作家発掘にも力を入れていることなどが評価された。

 創業600年弱と、こちらも長い歴史を誇るのは鎌先温泉(宮城)の湯主一條。旅館にホテル的なサービススタイルを取り入れ、併せて従業員の再教育を行い、本格的な食事を提供する個室料亭も備えた。「新しいコンセプトのサービスを提供する旅館」(同協議会)として人気も高く、雑誌など多くのメディアでも取り上げられている。

 米国のモーテルを手本に、宿泊特化型ロードサイドホテルのチェーン展開をしているのが旅籠屋(東京)。小規模な店舗展開や飲食・物販などのサービスを行わない徹底したローコストオペレーションで、家族4人で泊まった場合、1室1万500円からという低廉な価格を実現。「飲食店など地域のレジャー産業との競合がないことから、出店地域の活性化にも貢献している」点も選定理由となった。

 「業務の“見える化”と従業員のマルチタレント化で生産性の向上を実現している」と評価されたのが高山グリーンホテル(岐阜)。団体から個人へと変化した旅行スタイルに合わせて、オペレーションの変更を図るとともに、人件費の削減を目標として業務の徹底的な洗い出しと従業員のマルチタレント化による業務量の平準化を行っている。

 大阪第一ホテルは77年に開業したシティホテルだ。08年には「ホスピタリティ日本一のホテルを本気で目指す」という目標を掲げ、スタッフのモチベーション向上やコミュニケーション強化のための取り組みを開始。具体的には、全スタッフを対象とした独自の研修(笑顔研修や電話研修など)、フロントでは毎日支配人の立ち会いのもと行う朝礼・昼礼・夕礼や定期的な面談など、徹底した教育を行い、リピート率や客室稼働率のアップなどの成果につなげた。

2010年3月14日日曜日

休暇分散化、議論が本格化

休暇分散化、議論が本格化
2010年3月13日 観光経済新聞を抜粋編集

 政府の観光立国推進本部(本部長=前原誠司国土交通相)が設置している休暇分散化の作業部会は、ゴールデンウイーク(GW)と秋の大型連休を全国5ブロックごとに分散させる具体案を示した。企業の有給休暇取得と学校休業の分散化を組み合わせる方式ではなく、一部の「国民の祝日」のあり方を見直し、地域ごとに休日を割り振る方式だ。この具体案に対し観光業界からは、需要拡大への期待の一方で、効果予測や地域への影響などを踏まえた慎重な制度設計を求める声も挙がっている。具体案の提示で幅広い関心が高まる中、休暇改革の機運を生かす議論が求められている。

■内需の拡大
 休暇の分散化は、旅行のピーク需要の分散により観光地や宿泊施設、交通機関の混雑緩和につながり、オンシーズンの旅行費用を低下させるなど、旅行意欲を刺激する効果が期待される。国内観光の振興が地域経済の活性化や雇用の創出をもたらすことから、“財政出動なき内需拡大策”とも言われる。

 観光産業にとっては、ピーク期の定員オーバーなどで吸収できなかった需要を分散化で獲得できれば、旅行商品の販売拡大や宿泊施設の客室稼働率の向上につながる。半面、時期の集中に依存した経営は立ち行かなくなり、事業者、観光地の“優勝劣敗”が明確になる可能性もある。

 分散化の具体案の提示に先立つ、12月の作業部会では、星野リゾート社長の星野佳路氏が「休暇の分散化で埋蔵する内需を顕在化させるべき」「旅行者の満足度を高めても、高めなくても、休日は客で埋まるという競争環境の甘さが観光産業の国際競争力を低下させている」と意見を述べた。

■具体案への反応
 作業部会が提示した具体案に対しては、休暇改革を推進したい観光業界からも慎重な議論を求める声もある。

 観光18団体でつくる観光関係団体会長連絡会議(議長=舩山龍二・日本ツーリズム産業団体連合会<TIJ>会長)は昨年12月、「観光立国実現に向けた提言」と題した文書を国交省の辻元清美副大臣、藤本祐司大臣政務官に提出。休暇改革については、祝日の分散化ではなく、年次有給休暇の完全取得と連続休暇取得の法制化、学校休業の多様化などへの施策を要望していた。

 作業部会の具体案に関してTIJは、「祝日に焦点が当てられたもので、連絡会議が提言した休暇取得の促進ではない点が残念。祝日3連休化(ハッピーマンデー)の効果などを検証した上で議論した方がいいのでは。観光振興のための案だけに反対しづらいが、慎重な取り扱いが必要だ」としている。

 国際観光旅館連盟の佐藤義正会長は、個人的見解とした上で、「地域への影響を十分に考える必要がある。例えば、北東北のGWは八幡平や八甲田の雪の回廊、麓には桜という絶好の観光シーズン。首都圏の休暇時期が外れると影響は大きい。地域によって出るプラス、マイナスをどう考えるか」。秋の大型連休についても「国内観光の振興にとって各月の3連休をなくして大型連休にするのがプラスなのか、検証する必要がある」と指摘した。

2010年3月7日日曜日