2009年7月31日金曜日

観光庁、ニューツーリズム実証事業で28ツアー支援

 エコツーリズムや産業観光など、地域がつくるニューツーリズム旅行商品の創出、流通を促進する実証事業で、観光庁は15日、今年度に補助金を交付するモニターツアー28件を発表した。地域の魅力をゆっくりと深く知るウォーキングツアーや女性客の好奇心をくすぐるツアーなど特色あるプランが出そろった。参加者アンケートなどの分析を通じて商品化への課題などを探ってもらう。

 実証事業は2007年度にスタート、ニューツーリズム旅行商品の創出、流通への課題などを検討しながら3年目を迎えている。支援するモニターツアーは、地域の観光関係者が旅行業と一体で取り組む旅行商品が対象。来年1月末までに催行されるツアーに関する経費の一部を負担する。

 今年度採択された28件の中には、歩いて地域の文化や自然に触れようというツアーもある。岩手県野田村では、「塩の道」をテーマにしたウォーキングツアーが行われる。製塩が盛んな地域で、かつては「野田ベゴ」と呼ばれる牛に塩を背負わせ、盛岡方面や秋田県の鹿角方面までを運ばせていた。このベコの道を地元ガイドの案内で歩く。製塩体験や地元神楽の観賞も組み合わせる。

 また、鳥取県大山町では、ブナが生い茂る中国地方の最高峰、大山を地元ガイドとともにエコウォーク。途中、大山寺の阿弥陀堂で本尊の特別公開を拝観し、座禅体験もできる。

 乗り物を使って新たな魅力を発見するツアーも。岐阜県では、06年に廃線となった神岡鉄道の軌道上を走行できるようにした「レール・マウンテンバイク」が体験できる。岡山県倉敷市では、グルーズ船から水島コンビナートの巨大プラントやガスタンク、高炉などを観賞できる。

 女性をターゲットにした商品としては、レンタル着物で佐原の町並み散策や地産地消の食を楽しむ千葉県香取市のツアー、「知的美人が行く」と題した富岡製糸工場や碓氷峠鉄道など絹にゆかりのあるスポットを巡る群馬県(安中市など)のツアーがある。

2009年7月18日土曜日

観光庁が体験型旅行を支援、団塊世代の女性らに焦点

2009.7.15 16:39 産経新聞を抜粋編集

 観光庁は15日、産業遺産の見学など地域資源を活用した体験・交流型の旅行「ニューツーリズム」の普及に向け、宣伝費などの一部を国が負担する実証事業に28件のツアーを採択したと発表した。

 採択されたのは、団塊世代の女性をターゲットに、かつて絹の流通ルートだった群馬、長野県境の碓氷峠の鉄道施設跡などを見学する「知的美人が行く西上州シルクロードツアー」や、京都市内に残る唯一の水引工芸職人の指導で体験製作などを行う「きょうとリラクゼーション・ツアー」など。

 各ツアーは地元の観光協会や旅行会社などが主催。参加者へのアンケートを実施し、結果を今後の旅行商品づくりに役立ててもらう。

2009年7月12日日曜日

観光圏連絡協議会が発足

2009年7月11日 観光経済新聞を抜粋編集

 観光圏整備法に基づく認定を受けている全国30の観光圏でつくる観光圏連絡協議会が6日に発足した。情報交換や共同の調査研究を進め、競争力の高い観光地づくりにつなげる。地方運輸局の管轄するブロックごとの地域部会、宿泊の魅力向上などのテーマごとの分科会も設置する。

 6日、東京・霞ヶ関の合同庁舎で開かれた第1回会合には各観光圏から行政の担当者や観光事業者ら約120人が出席。今後、規約を定め、全国の観光圏の中から代表者として会長を選出する。オブザーバーとして、観光庁や国土交通省など関係省庁が参加する。

 観光庁の笹森秀樹・観光地域振興課長は「認知度の高い圏域として観光圏のブランド確立を目指す必要がある。宿泊や食の魅力向上といった共通の課題についてテーマごとの分科会、ブロックごとの地域部会で意見交換を深めてほしい」と協議会の活動に期待した。

 会合では、伊勢志摩広域観光圏、南房総地域観光圏、富良野・美瑛広域観光圏、雪国観光圏の4観光圏が取り組みを発表。宿泊の魅力向上、体験プログラムの開発、2次交通の整備などの事業を紹介した。

 このうち雪国観光圏からは、新潟・越後湯沢温泉HATAGO井仙の井口智裕社長が、情報発信や顧客管理に電子マネーの活用を検討していると報告。井口社長は「各観光圏の情報インフラを統一してはどうか。旅行者に認知され、比較可能なアンケート調査なども実施できる」と提案した。

2009年7月6日月曜日

産業観光で売り出せ!! “不死鳥”燕の現場で魅せる

2009.6.28産経新聞を抜粋編集

 洋食器づくりや研磨産業など金属加工業が集積する新潟県燕市を「産業観光」で売りだそうという大人向けの工場見学ツアーがこのほど行われた。観光をテーマにした新潟県のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「うるおい新潟」で盛り上がり、県内外から42人が参加した。本紙記者も同行し、400年の歴史を誇るものづくりの現場や、職人さんたちの熱い思いに触れることができた。幾多の危機を不死鳥のように乗り越えてきた燕には、ものづくりを支えてきた誇りがいっぱい詰まっていた。(永岡栄治)

 一行は19日午前9時半に集合し、まず「富田刃物」と、洋食器のトップメーカー「小林工業」へ。小林工業のブランド「ラッキーウッド」は磨き上げられて酸化被膜が張り、輝きが長く保たれるそうだ。

 小林貞夫社長(48)は「お客さまには20年、30年と使っていただいているので、もうかりません。それでも、娘が嫁ぐときに持たせたいといわれたのは、最高のほめ言葉ですね」と職人の誇りをのぞかせた。

 昼食は燕三条ワシントンホテルで、小林工業の洋食器を使って、燕ポークや地場産野菜が使われた料理を味わう。「いい食器を使うと、おいしさしか記憶に残らないんです」と小林社長は胸を張った。

 午後は燕市産業史料館へ。和くぎから始まり、キセル、ヤカン、洋食器と発展していった燕の歴史が展示された史料館ので最大の発見は、斉藤優介学芸員(31)だ。

 とにかくしゃべる、しゃべる、しゃべる。燕の金属加工業の歴史に始まり、戦争や輸入攻勢の波にのまれながらも、不死鳥のように生き延びてきた燕の歴史を語り続る。

 「燕の金属加工業の起こりは、信濃川や中ノ口川が度々氾濫(はんらん)し、農家の人たちは容易に作物を作ることができなかったんです。そのため、農家の副業として、和くぎを作り始めたのが始まりとされています。その後、いろりの灰をならす道具『灰ならし』を作った。これ、あれれ、さっき小林工業さんで見てきたスプーンの原型に似ていませんか。そう、これが燕の洋食器の原点なのです」

 話はさらに、燕の伝統工芸品「鎚起銅器(ついきどうき)」へ。

 「文字通り金鎚で起こして作る銅の器です。1枚の銅板を金づちで打って急須を作ります。この急須の口、つなぎ目がないんです。口出しという技術で、1枚の銅板から口を出します。すごいでしょう。私は、このヤカンの口がたまらなく好きなんですよ」

 一考はこの後、その鎚起銅器を造っている島倉堂へ。

 2代目の島倉政之さん(40)が銅を金づちでたたいて花瓶に整えていく作業を実演してくれた。みるみる花瓶の形に仕上がっていく。島倉さんが「同じ所をたたいたら切れてしまう」と職人芸の奥深さを語ると、そこへ父親の板美さん(72)がやってきて、「金づちやプレスの道具もすべて、おれが造ったんだよ」と話し始める。作業場にはさまざまな種類の金づちがずらり。ものづくりにかける父子の迫力に圧倒されっ放しだった。

 最後に、シルバーアクセサリーなどをOEM(相手先ブランド)生産する「倉又製作所」を訪れた。社長の倉又清彦さん(44)は「うちがオリジナルブランドを売り出そうとしても、デザインや営業の力がない。だから、作業に見合った工賃がなかなか取れないんです」と、燕の金属加工業者が抱える悩みを明かした。

 ツアー後の懇談会では、「ものづくりの現場はすごい」「工場だけでなく、中の人間が面白い」「素材はそろっており、すぐ商品化できる」と参加者は興奮を交えて感想を語り出した。今後、燕商工会議所などが中心となって産業観光を売り出していく。

   ◇  ◇

 工場見学ツアーを催すきっかけは、ビアカップから航空宇宙部品まで手がける金属研磨職人集団「磨き屋シンジケート」を立ち上げた燕商工会議所産業振興課長補佐、高野雅哉さん(44)が今年3月、SNS「うるおい新潟」で書いた日記だった。

 「磨き屋シンジケートの視察に年間2000人訪れるが、見学した工場や職人さんにお金が落ちるシステムがない。皆様の知恵をちょうだいしたい」

 この書き込みに、次々と反応が相次いだ。

 新潟県はNHKの大河ドラマ「天地人」の放映や地元国体、JRのディスティネーションキャンペーンが開かれる今年度を「大観光交流年」と位置づける。

 国土交通省から昨年度に出向し、初代の県観光局長として旗振り役を務める坂巻健太さん(39)は「今年はある程度、軌道に乗せることができた。問題は来年だ」と頭を悩ませてきた。そのヒントになったのが、燕をモデル地区とした産業観光の売り出しだった。

 全国の例に漏れず、燕の金属加工業も世界的な不況の荒波を受けている。倉又さんは「地域の工場がどんどん静かになっていった。仕事がないなら、外から人を呼んで現場を見てもらおうと話がまとまった」と話す。

 実は高野さん、坂巻さん、倉又さんも、SNS「うるおい新潟」の中心メンバーだ。SNSで活発に話し合い、すでに今回を含め4回の工場見学ツアーを企画している。このSNSには約500人が登録し、観光や地域おこしで活躍する県内外のメンバーが日々活発な議論や情報交換を繰り広げている。

 高野さんは日記にこう記している。

 「燕の工場で作られている製品が確かなもので、そこに従事している製造業のストーリーを一般消費者に知ってもらいたい。燕は400年、金属で日用品を作り続けてきた。この歴史や風土をみんなに知ってもらい、燕をブランド化していきたい」

 「MADE IN JAPAN」のプライドが、ここ燕にはしっかりと息づいていた。

2009年7月4日土曜日

中国人観光客、7月1日から日本の個人旅行が可能に

2009-07-01 CRIOnlineを抜粋編集

 中国人観光客の日本訪問をさらに増やすため、日本政府はこれまでの団体観光客にのみビザを発給するやり方を改め、1日から、中国人観光客向けの個人観光ビザを発給するようになりました。

 この措置はまずは北京、上海と広州で実行され、一年間のテスト期間を経て中国全土に拡大予定です。申請には年収25万元以上などの条件が必要とされています。

 なお、金融危機や不況、及び円高の影響を受け、最近、日本を訪れる外国人観光客が大幅に減少していますが、その中でも、唯一、中国人観光客は増える傾向にあります。

 日本観光庁の発表したデータでは、2008年、日本を訪れた中国人観光客はのべ100万人を超え、2000年のおよそ3倍近く増えたということです。