2009年10月26日月曜日

観光庁、概算要求額は今年度の4倍

10月24日 観光経済新聞を抜粋編集

観光庁は、2010年度観光予算の概算要求で、今年度当初予算の4.1倍、256億5千万円を要求した。削減が求められる予算編成の中、異例の伸び率。大幅に増額したのは、外国人旅行者の誘致目標を積極的に見直し、2019年に2500万人、将来的に3千万人という新たな目標を実現するためだ。外客の誘致や受け入れ整備などに充てる「訪日外国人3千万人プログラム」に今年度相当予算の約3.6倍にあたる113億7千万円を計上。さらに、観光圏への補助金を中心とする「観光を核とした地域の再生・活性化」に約17.3倍の108億4千万円を要求、地域の観光地づくりや産業振興を重視した。

 観光庁は概算要求にあたり、外国人旅行者3千万人の誘致を目指す「訪日外国人3千万人プログラム」を打ち出した。今後10年間の目標として2013年に1500万人、2016年に2千万人、2019年に2500万人を掲げた。

重点市場に3国追加 海外宣伝拠点を拡充
 「外国人3千万人プログラム」の要求額のうち、訪日旅行促進(ビジット・ジャパン)事業が101億2千万円を占める。重点市場に対するプロモーションを強化。従来、予算の制約から実施できなかった継続的なプロモーションを戦略的に推進する。重点市場は、インド、ロシア、マレーシアを追加し、15市場に増やす。

 日本政府観光局(JNTO)などが担う海外のプロモーション拠点も現在の14カ所から21カ所に増やす。市場拡大が見込まれる中国では、現在の北京、上海、広州(現在は臨時拠点)に加えて、瀋陽、大連、青島に開設。訪日外客の中で最大シェアを占める韓国はプサンを追加。インド、ロシア、マレーシアにも新設する。

 「訪日外国人3千万人プログラム」ではこのほかに、受け入れ環境整備事業に3億5千万円。このうち受け入れ環境づくり支援事業として2億円を使う。外国語による観光案内や標識の充実、地方空港や港湾での入国管理の円滑化などに向けて、地域を選定し、計画づくりや実証事業を支援していく。

観光圏でハード事業 補助率も引き上げ
 「観光を核とした地域の再生・活性化」の柱は、魅力ある観光地づくりを促進する観光圏整備事業で107億7千万円を充てる。今年度当初予算の18.5倍という伸び率は、鳩山首相が前原国交相に指示した「地域が主役の観光立国の推進」に基づく予算配分とみられる。

 観光圏整備事業の増額は、観光プログラムの開発や2次交通の整備など従来のソフト事業に加え、景観の整備や観光案内施設の整備など小規模なハード事業を支援できるようにしたため。内訳として90億円相当をハード事業分に見込む。

 観光圏のハード事業は、ソフト事業と同様に、地域が申請する観光圏整備実施計画に基づいて支援する。道路整備など大型事業には使えないが、温泉街に残る廃業旅館の撤去、歴史的建造物の復元などにも活用できるようにする。