2010年5月23日日曜日

休暇分散化、反対44%、賛成30%に

2010年5月22日 観光経済新聞を抜粋編集

 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1169会員)は17日までに全会員を対象にした休暇分散化に関するアンケート調査の集計結果をまとめた。政府の観光立国推進本部で提示されている春のゴールデンウイーク(GW)の分散化と秋の大型連休の創出の具体案について、春、秋合わせて賛否を聞いた結果、「反対」が43.6%、「賛成」が29.9%、「どちらとも言えない」が26.5%だった。質問対象の具体案は最終案ではなく、観光庁などが地方の意見などを聞きながらさまざまな手法を検討中だが、調査結果では賛否が分かれるとともに、期待と不安が入り混じる意見が多く寄せられた。

競争激化を危ぐ
 全体の約4割に達した反対の理由(選択式、複数回答)は、「地域間競争が激しくなり、今以上に有名観光地などの地域に集中する」が51.1%、「有給休暇を取りやすくする施策を進めることが先決」が40.2%、「各地域には伝統と歴史のあるさまざまなイベントがあり、すでに開催日が固定され、全国から多くの来客を受け入れている」が39.1%、「土・日曜日を合わせて5連休になると、海外旅行が多くなることが懸念される」が24.5%だった。

 このほかにも、「生産性や雇用問題のメリットだけを考えてこのような施策を実施してよいのか。日本固有の文化や習慣はどうなるのか」といった祝日の意義や文化的な側面を反対理由に挙げる旅館も複数あった。

■活性化を歓迎
 約3割に上る賛成の回答理由(同)は、「観光地の混雑や道路渋滞が緩和される」が83.3%、「遠距離観光がスムーズになり、国内観光の需要増が予測される」が61.1%、「旅行先の選択肢が広がる」が28.6%。

 ピーク需要の分散に伴う旅館経営上のメリットを挙げる意見も多い。「機会損失が減り、稼働率が上がる可能性がある」「平日と休日の差が少しでも平準化されれば、雇用の確保、食材の調達などがしやすくなる」「お客さまには料金の低廉化などのメリットがあり、宿泊施設としてもトータルでメリットが多いように思う」などの指摘があった。

■集客は工夫次第
 旅行需要が増大し、観光産業の生産性向上、地域経済の活性化につながるとの期待の一方で、地域間や宿泊施設間の“優勝劣敗”が鮮明になり、淘汰が進み、格差が広がるのではないかという声も多かった。具体案に反対の旅館だけでなく、賛成の旅館にも同様の懸念はあった。

 「人気の高い観光地や宿泊施設に集中し、将来的には地域の衰退を招く」「東京ディズニーランドや大型イベントを開催している地域に集中する」などの不安だ。一方で推進を求める声として、「実施してみる価値がある。集客できるかどうかは個々の工夫次第」「不景気の中、新しいチャレンジが必要。デメリットは修正していけばいい」などがあった。

 今回の集計結果では、「どちらとも言えない」という回答が3割近くに上ったことも特徴的。「内需拡大や旅館の活性化につながるか分からない」「予測できない部分が多い」「全国民的な盛り上がりが必要」などの意見もあったことから、国観連では、今後も休暇分散化に関する政府内外の議論に注目していく考えだ。