エコツーリズムや産業観光など、地域がつくるニューツーリズム旅行商品の創出、流通を促進する実証事業で、観光庁は15日、今年度に補助金を交付するモニターツアー28件を発表した。地域の魅力をゆっくりと深く知るウォーキングツアーや女性客の好奇心をくすぐるツアーなど特色あるプランが出そろった。参加者アンケートなどの分析を通じて商品化への課題などを探ってもらう。
実証事業は2007年度にスタート、ニューツーリズム旅行商品の創出、流通への課題などを検討しながら3年目を迎えている。支援するモニターツアーは、地域の観光関係者が旅行業と一体で取り組む旅行商品が対象。来年1月末までに催行されるツアーに関する経費の一部を負担する。
今年度採択された28件の中には、歩いて地域の文化や自然に触れようというツアーもある。岩手県野田村では、「塩の道」をテーマにしたウォーキングツアーが行われる。製塩が盛んな地域で、かつては「野田ベゴ」と呼ばれる牛に塩を背負わせ、盛岡方面や秋田県の鹿角方面までを運ばせていた。このベコの道を地元ガイドの案内で歩く。製塩体験や地元神楽の観賞も組み合わせる。
また、鳥取県大山町では、ブナが生い茂る中国地方の最高峰、大山を地元ガイドとともにエコウォーク。途中、大山寺の阿弥陀堂で本尊の特別公開を拝観し、座禅体験もできる。
乗り物を使って新たな魅力を発見するツアーも。岐阜県では、06年に廃線となった神岡鉄道の軌道上を走行できるようにした「レール・マウンテンバイク」が体験できる。岡山県倉敷市では、グルーズ船から水島コンビナートの巨大プラントやガスタンク、高炉などを観賞できる。
女性をターゲットにした商品としては、レンタル着物で佐原の町並み散策や地産地消の食を楽しむ千葉県香取市のツアー、「知的美人が行く」と題した富岡製糸工場や碓氷峠鉄道など絹にゆかりのあるスポットを巡る群馬県(安中市など)のツアーがある。